短歌で随筆

一日一首、紹介&雑感。『フリックでコラム』の副ブログです。

カテゴリ: オリジナル

長ネギを差した買い物袋提げ我青山でネクタイ選びぬ/しゅろ


開店時間の都合で起こってしまった悲劇。明らかに順番を間違えた。

長ネギが突き出た買い物袋は、それだけで家庭的な雰囲気の出るアイテムではなかろうか。そんな生活感溢れる長ネギは、ビジネスシーンの象徴であるネクタイの対極に位置するものだ。

例に漏れず店員さんが声をかけてきて、ネクタイの柄や色を見てくれた。その間中ずっと私の腕には長ネギの突き出た買い物袋がぶら下がっていて、後々この店員さんの話のネタになるのかなどと考えながらも、慎ましい一顧客としての立場を演じていたのだった。

遠くより人と桜を見やるのも繰り返す春月日流れて/しゅろ

近所の花見スポットは満開である。

花見たさに足を運ぶと、人人人。流石に気が引けたので、花見をしている人ごと桜を眺めるはめになった。

一年経って同じことをしているとは。目の前の景色は去年と変わっていないが、人々の心持ちや状況は確実に変わっている。

変わったものと変わらないもの。桜が変わらないものの象徴になるのは、普通と反対でなんだかおもしろいものである。

「仕事だろ」 一言で済む言葉には何のへうげも入っちゃいない/しゅろ


精神論は論外だが、当たり前のことをさも特別なことのように言うのも好きではない。限られた時間の中で何ができるか頭を使って行動しようとか、お客様目線にたって何が喜ばれるか考えることとか、それはそうだろうと。

人の心を動かすには、ちょっとしたズラシが必要だと思っている。それはユーモアだったり、おどけだったり、本当に伝えたいことをちょっとだけ隠すか逸らすかして、相手に気づいてもらうこと。そこに期待をかけることこそ、真に相手を思っての表現だと思うのだ。

現在私は『へうげもの』全巻取組中。アニメは見たのでどんなものかはだいたい知っているのだが、世界観の濃さに圧倒的されてついにマンガを購入した。

日頃から思っていることと融合させて一首。いかがだろうか。

目をこすり鼻すすりながら顔おおう3月9日みな花粉症/しゅろ

ちょっと乗り遅れたが、出しておく。

個人的にエモい感じになるのは好きではないのだが、たまにはこういうのも作るんだぞってことで。

というか、世代バレちゃうかも。

「犬小便お断り」とある看板の前で小便したのはだあれ/しゅろ
小便お断りの看板を見かけたことはないだろうか。

犬がオシッコするのにちょうど良い、ちょっとしたスミッコ。そこが自分の敷地だったらたまったものではない。ここでするなと、忠告のひとつも書きたくなる。

だが、それならば飼い主に言えばいいではないか。小便させるな、ならわかる。小便お断りとなると話は違う。それは犬に対して言っているのだ。犬に文字が読めるはずもない。だったらこの看板は誰に向けているのだろう。

その看板の前の地面は、無情にも小便らしき液体で黒く湿っていた。(私のような)ひねくれた飼い主があえてここを選んだのか、野良犬が寄ったのか、さては酔った人間がしたのか。いろんな妄想が膨らんだが、真相は知る由もない。

ただただ敷地の主が気の毒なだけの話であった。

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