世の中はつねにもがもななぎさ漕ぐあまの小舟のつなでかなしも/源実朝

日常のなんでもない光景にふと、とてつもないかけがえのなさを感じることがある。その瞬間、痛切なかなしみを覚えることもわかる話だ。

作者は鎌倉幕府三代目将軍。たいそうな肩書きとは裏腹に優れた歌人として知られ、本来は政治とは離れた世界にいたい人物であったようだ。
 
歌の持つ無常感と、政争に巻き込まれ、28歳で暗殺される作者の運命とが相まって、心に響くものとなっている。