今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならでいふよしもがな/藤原道雅

今となっては思いを断念しようということだけでも、人伝でなく言う方法がないものか。

密通がばれて二度と会えない間柄になったことを受けて作られた歌。直接伝える方法などいくらでもある現代人には、この歌心を完璧に掴むことはどうしても難しいかもしれない。

歌だけ見ればこの作者が不憫でならないが、どうもこの作者自身、かなりの変人だったとか。歌の解釈に作者自身の生きざまを読み込むかどうかは人によって違うが、どうだろう。普段からおかしなことをしている人が、このような情緒的な歌を作るからこそ、芸術はおもしろい。私はそう思うのたが。