電話口でおっ、て言って前みたいにおっ、て言って言って言ってよ/東直子

物語のような広がりをみせる歌である。電話口にいるのは、今は別れた彼なのだろうか。

「おっ」と言うのが彼の口癖だった。そんな些細なことにこそ心を動かすものがある、と気がついた作者の感性が素晴らしい。「言って」のリフレインが、気持ちの高ぶりを良く現す。

ところで、今のっているアーティスト、ヨルシカという二人組バンドがあるのだが、彼らの楽曲にも『言って。』というものがある。


こちらもストーリー風になっていて、「言って」のリフレインが効果的な歌詞だ。

両者に共通するのは、平易な話し言葉でいて抽象的なストーリー。わかるようでわからない、解釈の余地が多分にある内容が魅力だ。

現代的な文芸、言語センスは、「言って」から始まる。かもしれない。