吾がために死なむと云ひし男らのみなながらへぬおもしろきかな/原阿佐緒

作者は美貌で知られたという。

「君のためなら死ねる」と言うような男ほどいまだにのうのうと生きているのだ、と歌う作者は、身をもってこの真実をつかんだのだろう。自嘲気味な内容で一見笑って流してしまいそうになるが、この一首が生まれるまでにどれほどの涙を流したか想像すると、非常に悲しい歌でもある。

百人一首にもこれに近い歌があって、私も好きな歌のひとつ。

忘らるる身をば思はず誓ひてし人の命の惜しくもあるかな/右近

「忘れ去られる自分のことはどうでもいいが、一生愛すると神に誓ったあなたの命が心配でならないのです」と。

一時の衝動で簡単に「一生」をかけてしまう男の浅ましさを、女は冷静に見ているということだろうか。