ねえ、きみを雪がつつんだその夜に国境を鯱はこえただろうか/正岡豊

昨日に引き続いて、夢と現実の境界のような独特の歌を。

そもそも鯱も想像上の生き物。どういう意味だろうと考えるよりも、歌の持つ雰囲気を味わいたい。

この歌は文法が独特だ。「ねえ、」と呼びかけから始まり、「雪がきみをつつんだ」をあえて「きみを雪がつつんだ」と入れ替え、「鯱は国境をこえただろうか」も「国境を鯱はこえただろうか」と入れ替えている。少し不自然な文法が話し言葉らしく、夢うつつで問いかけているような浮遊感を醸し出す。

良い感じのムードのなかでふとこの短歌を口ずさんでみたい。すごくお洒落なセリフになりそう、じゃない?