恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひそめしか/壬生忠見

あいつは恋をしているという噂がたってしまった、人知れずに思い始めたというのに、という歌。

これも百人一首のひとつである
しのぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで
と同じ歌会で詠まれたものであり、どちらもあまりの優れた出来に勝敗は拮抗したとか。

周りに噂されるほど色めき立っている時点でどっちも失格だよ、と断じた庄司薫の『赤頭巾ちゃん気をつけて』を読んだばかりでもあって、つくづく歌の印象なんて人それぞれだと思う。

両歌は「忍ぶ恋」をテーマに競ったそうである。忍ぶ恋をテーマに「忍ぶ」を言ってしまうのは禁じ手なのではないか…と思う私は「恋すてふ」推しである。

あなたはどっちにする?