「ココアでも飲む?」といふ声聞こえきて夜を明かすらし姉と弟/花山多佳子

子どもたちの会話を漏れ聞いた母親の立場から歌ったものだろう。

二人のやり取りを愛おしく思っていることがよく伝わってくる。取り立てて大きなテーマではないからこそ、そのなんでもなさがかけがえないものとして現れる。

なんでもなさを取り上げるというのは、短歌が担うべき使命のようにすら感じられる。いずれは失われてしまう今の当たり前を、永遠のものにするために。短歌は存在しているのだ。